一人をケアするだけでは届かないものがある。

一人をケアするだけでは届かないものがある。

カップルセッションを通して感じたこと

先日、あるカップルに、
お二人で受けていただくセッションをさせていただきました。

これまで私は、女性の身体や性に向き合うフェムケア、
そして男性の身体や性に向き合うケアを通して、

「身体に触れること」
「性を知ること」
「自分自身の身体を大切にすること」

をお伝えしてきました。

けれど今回、初めて「カップル」という単位でお二人に向き合ったことで、

私の中に以前からあった想いが、
よりはっきりとしたものになりました。

私は、一人の身体だけではなく、
その人が大切にしている人との“関係性”までケアしていきたい。

そう強く感じたのです。


同じ出来事でも、二人が見ている世界は違う

カップルは、長く一緒にいるほど
「相手のことはわかっている」と思いがちです。

でも実際には、

「そんなふうに感じていたんだ」

「そんなことを望んでいたんだ」

「私は全然違う意味に受け取っていた」

ということがたくさんあります。

愛情がないからではありません。

一人ひとり、育ってきた環境も、
大切にしていることも、
安心を感じる方法も、
愛情の表現の仕方も違います。

だから、好きな人同士であっても、
時にすれ違います。

そして二人だけで話していると、

「前にも言ったよね」

「だから、そういう意味じゃない」

「どうしてわかってくれないの?」

と、いつものパターンに戻ってしまうこともあります。

今回、お二人の間に入らせていただいて感じたのは、

第三者がいることで、
いつもとは少し違う角度から相手の言葉を聞けることがある、

ということでした。

そして、

「相手を変える」のではなく、
「相手をもう一度知る」こと。

そこから関係が動き始めることがあるのだと思います。


性の問題は、「性」だけを見てもわからない

これは、私がこれまで性や身体のケアに関わってきた中でも、ずっと感じてきたことです。

セックスレス。

性欲の違い。

触れてほしい、触れられたくない。

もっと求めてほしい。

求められることがプレッシャーになっている。

セックスをしたい、したくない。

一見すると「性の問題」に見えます。

けれど、その奥にあるものを見ていくと、

寂しさだったり、
不安だったり、
過去の傷だったり、
日常の中で積み重なった小さなすれ違いだったりすることがあります。

反対に、言葉ではなかなか解決できなかったことが、

安心して触れられることや、
身体のぬくもりを感じることで、

少しずつほどけていくこともあります。

心と身体と性、そしてパートナーシップは、
本当は全部つながっている。

私は改めてそう感じました。


「どちらが悪いのか」を決める場所にはしたくない

カップルの相談というと、

「どちらが正しいのか」

「どちらが悪いのか」

を判断するようなイメージを持つ方もいるかもしれません。

でも、私がしたいのはそれではありません。

どちらか一方の味方になることでも、
「もっと相手を理解しましょう」と我慢を促すことでもありません。

二人それぞれが、

「私は本当はどう感じているんだろう?」

「相手は本当は何を伝えようとしているんだろう?」

と、自分と相手を知り直せる場所をつくりたい。

本当は寂しかった。

本当はもっと触れてほしかった。

本当は愛されていると感じたかった。

本当は少し距離が欲しかった。

本当は拒絶したかったわけじゃなかった。

本当は、大切にしたかった。

近い関係だからこそ言えなくなってしまったことを、
安心できる場所でもう一度伝えてみる。

私は、その間に立つ人でありたいと思っています。


身体に触れることも、二人を知るためのひとつの方法

私はこれまで、身体へのケアをとても大切にしてきました。

なぜなら、人は頭だけで生きているわけではないからです。

いくら「相手を大切にしよう」と思っていても、

身体が緊張していたり、
触れられることに怖さがあったり、
自分の身体そのものを好きになれなかったりすると、

パートナーとの触れ合いが苦しくなることがあります。

逆に、

安心して触れられること。

大切に扱ってもらうこと。

相手の身体を丁寧に知っていくこと。

そこから言葉では得られなかった安心が生まれることもあります。

だから私は、

「話すこと」だけでもなく、
「身体をケアすること」だけでもなく、
「性のテクニックを教えること」だけでもない、

心・身体・性・関係性を、ひとつながりに見ていくケア

をつくっていきたいと思っています。


パートナー同士が、癒し合える関係へ

今回のカップルセッションを終えたあと、
私の中にとても強く残った感覚がありました。

それは、

「私は、こういうことをもっとやっていきたい」

という想いでした。

セラピストがずっとケアし続けるのではなく、

最終的には、
大切な人同士がお互いを知り、
お互いの身体を大切にし、
お互いが安心できる存在になっていく。

もちろん、いつも優しくできるわけではありません。

喧嘩することもある。

わかり合えないこともある。

一人になりたい日だってある。

それでも、

「この人とは安心して話せる」

「嫌なことは嫌と言える」

「触れてほしいと伝えられる」

「今日は触れられたくない、と言っても大丈夫」

そんな関係を少しずつ育てていくことはできると思うのです。


性を、二人の幸せから切り離さないために

私はこれから、

「性とパートナーシップ」

を、もっと一緒に伝えていきたいと思っています。

性をテクニックだけで終わらせない。

身体を身体だけで終わらせない。

パートナーシップを会話だけで終わらせない。

身体も、心も、性も、
その人の人生の一部だから。

そして性は、本来、
誰かと比べたり、
できる・できないを評価したりするためのものではなく、

大切な人と深くつながるための
ひとつのコミュニケーションでもあると思っています。

今回のセッションを通して、

私がこれまで女性と男性、それぞれの身体や性を学び、ケアしてきたことが、

ようやく一つにつながり始めたような感覚がありました。

これから少しずつ、

カップルで受けられるセッション

も形にしていきたいと思っています。

二人だけでは、どうしても同じところをぐるぐるしてしまう。

でも、本当は別れたいわけじゃない。

もっとわかり合いたい。

もっと安心して触れ合いたい。

もう一度、相手とつながりたい。

そんな二人の間にそっと入り、

それぞれの心と身体の声を丁寧に見つめながら、

二人がもう一度、お互いを知り直していく。

そんな時間をつくっていきたいと思います。

パートナー同士が、傷つけ合うのではなく、
お互いを大切にし、癒し合える関係へ。

それが、これから私が届けていきたい
「性とパートナーシップのケア」です。