あなたにとって、「性欲」ってなんですか?
「最近、性欲がなくなったんです」
40代以降の女性や男性とお話ししていると、
そんな言葉を聞くことがあります。
でも私は、そのたびに少し考えるんです。
性欲って、そもそも何だろう?
セックスがしたいこと?
誰かの身体に触れたいこと?
抱きしめてもらいたいこと?
女として、男として、求められたいこと?
それとも——
誰かと深くつながって、
「私はちゃんと生きている」と感じたいこと?
私たちは、いろんな欲求をひとまとめにして
「性欲がある」「性欲がない」と呼んでいるのかもしれません。
「したくない」と「愛していない」は、同じじゃない
40代、50代になると、
若い頃とは身体も生活も変わってきます。
仕事が忙しい。
子どものことがある。
親のことも気になってくる。
疲れが抜けにくくなったり、
眠りが浅くなったりする。
女性なら更年期前後の身体の変化もあります。
男性もまた、
「以前と同じようにできない」
という変化に戸惑うことがあります。
そんな中で、性欲だけが
20代、30代の頃とまったく同じというほうが
不思議なのかもしれません。
だけど私たちは、
「したいと思えないから、もう好きじゃないのかな」
「求められなくなったから、もう女として見られていないのかな」
「勃たないから、男としてダメなんじゃないか」
そんなふうに、
性の変化を「愛情の変化」や
「自分の価値」と結びつけてしまうことがあります。
でも、本当にそうでしょうか。
セックスはしたくない。でも、触れてほしい。
こんな気持ちになることはありませんか?
セックスまではしたくない。
だけど、
抱きしめてもらいたい。
手をつないで歩きたい。
隣でくっついて眠りたい。
髪を撫でてもらいたい。
何の目的もなく、
ただ優しく身体に触れてほしい。
反対に、
身体を重ねたいというより、
相手に自分を求めてもらうことで
「まだ自分は魅力的なんだ」
と感じたいこともあるかもしれません。
だとしたら、
私たちが「性欲」と呼んでいるものの中には、
セックスそのものとは別の欲求も、
たくさん混ざっているのではないでしょうか。
性欲の奥にあるもの
私は性について学び続ける中で、
「したい・したくない」だけを見るのではなく、
その奥に何があるんだろう?
と考えることがとても大切だと思うようになりました。
触れたい。
触れられたい。
安心したい。
愛されていると感じたい。
自分を解放したい。
女性として、男性として求められたい。
誰かと深くつながりたい。
そして、
「私は生きている」と身体で感じたい。
そんな欲求が、
性という場所に現れることがあります。
だからこそ、
「性欲がない」
という一言で終わらせる前に、
「私は今、本当は何を求めているんだろう?」
と自分に問いかけてみてほしいのです。
「求められると嫌。でも、求められないと寂しい」
一見矛盾しているようですが、
私はこの感覚も、とても自然なものだと思っています。
パートナーから求められると、
「今日は疲れてるのに……」
「またセックスしなきゃいけないの?」
と負担に感じる。
ところが、
まったく求められなくなると、
「もう私に興味がないのかな」
と寂しくなる。
欲しいのは、
もしかすると「セックス」そのものではないのかもしれません。
大切に扱われること。
異性として見てもらうこと。
自分の身体ごと愛されていると感じること。
そこが満たされていないから、
「したい」「したくない」だけでは説明できない感情になることもあります。
40代からは「性欲が減った」ではなく、
「性が変わった」のかもしれない
若い頃の性は、
勢いや衝動から始まることも多かったと思います。
でも年齢を重ねると、
安心できること。
信頼できること。
雑に扱われないこと。
ちゃんと話を聞いてもらえること。
自分のペースを尊重してもらえること。
そんな心の状態と身体の反応が、より深くつながってくることがあります。
だから私は、
40代以降に性欲が変化することを、
単純に「衰え」とは捉えなくてもいいと思っています。
むしろ、
自分にとって本当に心地いい性とは何なのかを、
もう一度知っていく時期。
なのかもしれません。
性は「する・しない」だけじゃない
キスをする。
手をつなぐ。
抱きしめる。
背中を撫でる。
裸で寄り添う。
マッサージをする。
ただ同じベッドで眠る。
そしてもちろん、
セックスをすることもある。
どこまでが「性」なのかなんて、
本当は誰かが決めるものではありません。
二人が心地よく、
安心してつながれるのであれば、
そこにある触れ合いも、
立派な二人の親密さだと私は思っています。
「性欲がある・ない」から、一度離れてみる
もし今、
「昔より性欲がなくなったな」
と思っているなら、
すぐに取り戻そうとしなくてもいい。
代わりに、こんなふうに自分に聞いてみてください。
私は、どんなふうに触れられたい?
どんなときに、相手とつながっていると感じる?
何をされたら嫌で、何なら心地いい?
求められたいのか、触れられたいのか、それとも安心したいのか?
そして、
今の私にとって、「性」ってなんだろう?
若い頃と答えが変わっていても、
私はそれでいいと思うんです。
性は、一生同じ形である必要なんてないから。
これからの人生のために、性をもう一度知ってみる
40代、50代。
人生はまだまだ続きます。
だからこそ、
若い頃の「性の正解」をそのまま持ち続けるのではなく、
今の身体で、
今の心で、
今のパートナーシップの中で、
自分にとっての性を、もう一度つくり直していく。
私は、それも大人の性教育だと思っています。
性欲があるか、ないか。
できるか、できないか。
何回するか。
そんなことだけではなく、
私は、どんなふうに愛されたいのか。
私は、どんなふうに人を愛したいのか。
そして、自分の身体とどう生きていきたいのか。
性を見つめていくと、
最後はいつも「自分をどう生きるか」というところに
つながっていく気がしています。
だから私は、
今も性を学び続けています。
あなたにとって、
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